勝手にウィーン・ウィーク2010、本日はウィーンフィル青少年のための公開リハーサルに行ってまいりました。
<アンコール・ネタバレあり>
当初はサロネンの予定だったので恐らくマラ9だろうと予想していたのですが、サロネンが「個人的な事情」により降板してしまったのでプレートルによるプローベでした。 それにしても昨日Cb奏者のゲオルグ・シュトラッカ氏が富士山にてお亡くなりになったという衝撃的すぎる事件の翌日の朝の練習なので、会場に着いたらドタキャンなんていうことも想定しながら10時にサントリーホールへ向かいました。
さて、実際についてみると「25歳以下の青少年」向けにしては年齢層が高いムッシュとマダムばかりなので驚いたのですが、業界関係者か若しくはウィーンフィル友の会的な人たちなのでしょう。 リハの時間が30分ばかし押しているとのことでしたので、昨日の件でミーティングでもしてたのでしょうか。 兎に角無事に行われるようです。
いただいたチケットはRBブロックということで舞台上手でコンマスのライナー・キュッヒルと向い合せの席でした。客が入場した時すでに楽団員が何名か舞台上にいたのですが、誰も楽器を吹いたり弾いたりしておらず、(思い込みかも知れませんが)何か重苦しい雰囲気を感じました。
舞台の最後部には何故か今回別プロを振っているはずの、アンドリス・ネルソンスがイスに座ってました。あれ? しかも「英雄」のはずなのにシンバルとかバスドラとかあるし。 ま、まさか!!
そうこうしているうちに開始時間となり楽団員が揃うと、おもむろにキュッヒル氏が立ち上がりオケ全体にAを一瞬だけ渡してチューニング終了。 こんないい加減なの!?と思ってしまいました。 すると舞台袖からおじいちゃんがよろよろと這い出てくるように出てきました(失礼)。 プレートルは指揮台に上がると人が変わったようにシャキーと立ち上がり、オケをコントロールしている風に見えました。 何にも目立ったような動きはしていないのに、テンポの微妙な変化を出したり、バランスをとっていく姿は「巨匠」なのでしょうね。 初めは寝起きだったのか全然、縦が合っていなかったオケが1楽章の中ごろからノリノリになっていく様子が感じられました。
それにしてもキュッヒル怖すぎ。 終始ブスっとしているけどもオケをグイグイ引っ張っていくし、音量が「あの」なかでも断トツで抜けて聞こえてきた。 イメージそのまんまの「コンサートマスター」。 一方でプレートルは、見た目通りのお茶目なおじいちゃん。 あの歳で大声で歌ってフレーズを伝えるのだが、声がとてもよかった。 あの人は劇場中心のキャリアを積んできたのだろうか。 曲の作りも、とにかく歌うように横に自由に伸縮するような印象を受けた。 プレートルは日本では最近になってようやく認知されてきたようだが、向こうでは相当な人気らしい。
ベートーヴェンはもちろん非常に良かったけれども、やはり「リハーサル」感が否めない出来だった。 彼らは年になんども色々な指揮者でこの曲をやっているのだろうから譜面については分かっているのだろうけれど、指揮者が作る音楽に関しては手探りの印象。 本番まで1週間あるし、彼らならば今日のリハで全部わかってしまうのでしょう。
今日一番感動したのはアンコールのブラームス、ハンガリー舞曲の1番。 冒頭のヴァイオリンの旋律で背筋がゾクッとした。 G線の響きが豊かな音と絶妙な抑揚、(ロマの人々の)悲しみとか辛さとか、あの曲が持っている独特な雰囲気がストレートにガツンと伝わってきた気がする。 このオケが本気になってブラームス演奏しているのを聞いたら悶絶してしまうだろう。 今日のブラームスの、この感触は2度と忘れられないだろうな。
このあとアンコールの2曲目のトリッチ・トリッチ・ポルカを聞いて、ウィーンの雰囲気を若干ながら感じつつのプレートルの練習は終了。 ポルカではプレートルはほとんど指揮せず。 謎の増強された打楽器はこのためのものだったようだ。
プレートル退席後に何故かネルソンスが指揮台に上り振り始めて、一瞬客席のテンションが上がったのだが2小節ほど振ってなにか指示を一言(響きがどうこうって)言って終了。 曲はG線上のアリア。 これはこれで聞きたかった。
ウィーンフィルといえば、自分の中ではもはやブランド先行型になってしまっていて、ブルジョア聞く音楽だとかチケット高過ぎとか思っていたのだが、100見は1聴にしかず、これならば1回のコンサートに数万円払っても聞く価値はあるなと思ったのでした。 いろんな意味で勉強になった。 ぜひ聞いてみたいなぁ。